兎も角食料が豊富で、平和が続けば人口が増加してくる。増加した人口を養うことが、族の集合体にとっては大きな課題となる。効率よく収量を上げるため野草の作物化を図り、栽培する。其の為、灌漑が必要になり、利水等の管理も出てくることになる。此処までは、一般的な都市国家形成の道程で有ろう。
シュメールでは、岩場に下りたホモ・サピエンス・サピエンスは山の麓からティグリス川、ユーフラテス川のデルタ地帯へと行動を起こして行く。河川の近くは耕作に必要な水管理が容易だ。又、大河ユーフラテス川が長年に亘って運んで来た良質の土地は、狩猟採集農業に
農業の広がりと共に都市国家へと発展して行く。
ペルシャ湾に流れ込んだ土石は、トルコ共和国東部を源流とするユーフラテス、ティグリス両河川により有機質に富んだ良質の土を長年かかって運んで埋めたデルタ地帯だ。ここには、当時50以上の都市国家が乱立していたと言われている。生活のレベルも高く、『5000年前のシュメールの日常』(小林登志子著)によれば、甘いパン、油で揚げたパン等、主食のパンが現在と変らない「75種類」以上あったと言う。
 ユーフラテス、ティグリス川が運んだ沖積層土は、
の上に発展した都市国家群の中で、ウルが際立って強かった。隣接する都市国家ウルクが、たびたび挑戦するが何時も敗退させられていた。何故ウルガ際立って強かったか。ウルが強かったことは、歴史上の事実として証明されている。歴史上初めてアッカド文字による明文化されたウルナンム法典等に見るように、文化的に進んだ隣接の都市国家群、アッカド地区からの刺激もあって文明的にも進んでいた。